【日記に「おにぎり食べたい」 生活保護「辞退」男性死亡】
北九州市小倉北区の独り暮らしの男性(52)が自宅で亡くなり、
死後約1カ月たったとみられる状態で10日に見つかった。
男性は昨年末から一時生活保護を受けていたが、4月に「受給廃止」となっていた。
市によると、福祉事務所の勧めで男性が「働きます」と受給の辞退届を出した。
だが、男性が残していた日記には、そうした対応への不満がつづられ、
6月上旬の日付で「おにぎり食べたい」などと空腹や窮状を訴える言葉も
残されていたという。
市などによると、10日、男性宅の異変に気づいた住民らから
小倉北福祉事務所を通じて福岡県警小倉北署に通報があり、駆けつけた署員が
部屋の中で、一部ミイラ化した遺体を発見した。目立った外傷はなく、
事件の可能性は低いという。
男性は肝臓を害し、治療のために病院に通っていた。
市によると、昨年12月7日、福祉事務所に「病気で働けない」と生活保護を申請。
事務所からは「働けるが、手持ち金がなく、生活も窮迫している」と判断され、
同月26日から生活保護を受けることになった。
だが、今春、事務所が病気の調査をしたうえで男性と面談し、
「そろそろ働いてはどうか」などと勧めた。
これに対し男性は「では、働きます」と応じ、生活保護の辞退届を提出。
この結果、受給は4月10日付で打ち切られた。
この対応について男性は日記に「働けないのに働けと言われた」などと
記していたという。
その後も男性は働いていない様子だった。1カ月ほど前に男性に会った
周辺の住民によると、男性はやせ細って、「肝硬変になり、内臓にも
潰瘍(かいよう)が見つかってつらい」と話していたという。
小倉北区役所の常藤秀輝・保護1課長は「辞退届は本人が自発的に出したもの。
男性は生活保護制度を活用して再出発したモデルケースで、
対応に問題はなかったが、亡くなったことは非常に残念」と話している。
同市では05年1月、八幡東区で、介護保険の要介護認定を受けていた
独り暮らしの男性(当時68)が生活保護を認められずに孤独死していた。
06年5月には門司区で身体障害者の男性(当時56)が
ミイラ化した遺体で見つかった。この男性は2回にわたって生活保護を求めたが、
申請書すらもらえなかった。
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